(文:タナカヒロシ)

写真を編集する場合、サイズの変更や画像の回転は、よく使うテクニックだろう。だが、「Adobe Photoshop Touch」でこれらの操作をする場合、それぞれ2種類のやり方がある。前者はリサイズとトリミング、後者は90度回転と角度指定回転だ。仕組みを認識しておかないと、思い通りの編集ができないばかりか画質が激しく劣化するといった事態を招きかねない。操作そのものは難しくないが、意外と奥深いのだ。

リサイズとトリミング

 デジカメであってもiPadであっても、コンピューターで扱う画像はすべて小さな「ドット(ピクセル)」の集合で構成されている。ドット数が多ければ多いほど画質は高く、緻密な画像になる。この状態を「解像度が高い」といい、この数値を変更する操作が「リサイズ」だ。

 写真全体の解像度を変更するには、Photoshop Touchの「&」メニューから「画像サイズ」を選ぼう。ダイアログが表示されるので、任意の数値を入力すればいい(図1)。


図1 右側の「チェーン」のアイコンは、縦横比を固定するボタン。このチェーンがつながった状態ならば、同じ縦横比で数値が変動する。数値は専用のテンキーから入力する

 現在のサイズよりも小さな数値を入力すると、画質が粗くなる。ただし、大きな数値を入れても画質が向上することはない。これは印刷物を拡大コピーしても、細かい字がきれいに見えるわけではないのと同じ理屈だ。なおPhotoshop Touchで扱うことのできる画像サイズは、2048×1536ドットが上限。それ以上の数値は入力できない。

 写真の特定の部分を切り抜いてしまうことで、結果的にドット数を小さくするのが「トリミング」だ。切り抜いた外側の部分は失われてしまうので注意しよう。「&」メニューから「切り抜き」を選ぶと、画面全体が切り抜きモードに変化するので、上下左右のハンドル(白い丸)をドラッグして大きさを調整する(図2)。


図2 画面の上部に幅×高さのドット数が表示されるので、これを目安にしながらハンドルを操作しよう。ここでも「チェーン」アイコンで縦横比の固定が可能だ

ファイル形式と容量の関係

 ここまでは解像度の変更について見てきたが、ファイルの容量そのものを変更することも可能だ。その場合は、ファイルの保存形式を変更するのが最も手っ取り早い。

 ただし、いくつかの注意点がある。画像の解像度は、数値を指定すれば変更できる。しかしファイル容量はアプリ側の処理で決まるため、絶対的に小さくはできない。そのうえPhotoshop Touch単体では、ファイル容量を確認する手段がない。画像をCreative Cloudにアップロードして、ウェブブラウザーから確認しよう(図3)。


図3 iPadからCreative Cloudにアクセスした。「サイズ」欄にはファイル容量が表示されているが、Photoshop Touchの「画像サイズ」は解像度を変更する機能だった。このように、表記がきちんと統一されていない

 ファイルの保存形式には、それぞれ特徴がある。JPEG形式は、非可逆圧縮と呼ばれる方式を用いてファイル容量を抑えている。その半面、画質を劣化させて画像情報を圧縮しているため、この情報を元に戻して画質を復元することはできない。PNG形式は可逆圧縮方式を用いているため、上書き保存を重ねても画質は劣化しない。ただし、JPEGと同様にレイヤーは統合されてしまう。

 最もファイル容量が大きいのはPSD/PDSX形式だが、レイヤーを保持できる利便性を備える。ただしファイルの互換性は低く、基本的には「Adobe Photoshop」での編集を前提としている。場合に応じて、それぞれを使い分けるといいだろう(図4)。

図4 「透過情報」とは、アルファチャンネルのこと。レイヤーのような階層構造はないが、透明部分を持てるという特徴がある

2種類の画像回転方法

 次に、画像の回転について見ていこう。Photoshop Touchには2種類の補正方法がある。それぞれ目的に応じて使い分けたい。
 まず最初に、シンプルな90度/180度回転の方法を紹介しよう。「&」メニューから「回転」を選ぶと、メニューが表示される。あとは回転させたい方向を選び、タップするだけでいい(図5)。


図5 回転方法は3種類から選択できる。さらに反転方法も水平/垂直から選べるので、構図を変えたいときにも重宝する

 もうひとつの回転方法は、「変形」モードを利用するもの。ツールバーの中央右側にある「変形」をタップしてみよう。この機能はレイヤーを変形させるモードで、これを利用すれば回転も可能だ(図6)。


図6 「変形」モードでは、白丸のハンドルで機能が表示される。それぞれのハンドルを指でドラッグして、「回転」や「ゆがみ」などの効果を適用する

 「&」メニューの回転と異なり、1度単位での回転が可能なのが特徴。撮影した写真の水平線を微調整したいときなどに便利だ。ただしレイヤー単位での回転なので、四隅に空白が生じてしまうのは避けられない。これを回避する方法はないので、回転後に空白部分が消えるようにトリミングするか、あるいは回転と同時にレイヤーを拡大するといったテクニックが要求される(図7)。



図7 角度調整時に生じてしまう四隅の空白部分は、レイヤー自体を拡大してうまくトリミングできるようにするといい。なお、回転後に枠内に納まらない部分は自動でトリミングされてしまう

 「変形」メニューからは、各機能に対応するハンドルをドラッグするだけで、さまざまな処理が可能。例えば変形させながら反転するなど、同時に複数の変形処理を一括して操作できる。ちなみにPhotoshop Touchには、この機能の強化版として「ワープ」機能が用意されている。次回はこの機能の詳細について紹介しよう。

イチから始めるフォトショップ#06:「選択範囲」の保存と応用テク

Adobe Photoshop Touch 1.2
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販売業者 : Adobe Systems, Inc
カテゴリ : 写真/ビデオ

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