6月11日(米国時間)、アップルの開発者カンファレンス「WWDC 2012」(WorldWide Developer Conference 2012)が米カリフォルニア州サンフランシスコでスタートする。開催まですでに1ヵ月を切った状態だが、ここでの発表内容をいまから心待ちにしているユーザーも多いことだろう。今回は、そんなWWDCに関連して出てきた噂について、いくつかまとめてみる。

2012年のWWDCは期待できる!?

 “開発者カンファレンス”の冠が付くことから分かるように、本来WWDCはOS X/iOSプラットフォームをターゲットに開発を行なうデベロッパーのためのイベントだ。だが同時に、カンファレンス初日の基調講演の場で新サービスや新ハードが発表されることもあり、アップル公式の数少ない製品発表の場としても知られている(「One more thing…」のフレーズは有名だろう)。

 また、従来WWDCにおける主なテーマは「Mac用のOS」に関する話だったが、最近ではこれに加えて主力プラットフォームになりつつある「iOSや関連デバイス」に関する話も増えている。初代iPhoneからiPhone 4まで、4世代ぶんのiPhoneがWWDCの場で発表され続けたこともあり、「新型iPhoneはWWDCで発表される」といった見方もあったが、最新のiPhone 4Sは昨年2011年10月のスペシャルイベントで発表されており、このジンクスは崩れている。実際のところ、今年もどうなるかは分からない。

 そんな中で、ひとつ確実だとみられるのが、すでに予告されているMac用次期OS「OS X Mountain Lion」に関する最新情報と、次期iOSバージョン(iOS 6?)に関する情報が公開されることだ。

 WWDCはアプリケーション開発者をターゲットとしていることもあり、次期OSに関する情報を公開し、早期対応を促す狙いがある。実際、過去のOS Xについても、少なくとも発売の約半年前までには開発者に対する情報提供とベータ版の配布を開始しており、iOSについても同様だ。iPhoneの場合、発売される3〜4ヵ月前には詳細情報の公開とベータ版配布が行なわれている。

 過去のケースでいえば、iPhoneが6〜7月に発売されていたころには、次期iOSの最新情報を3〜4月には公開していたし、前回のiPhone 4Sのケースでもその直前の6月のWWDCで公開されている。もし次期iPhoneが今年の9〜10月というタイミングに新OSを搭載して発売されるのであれば、その最新OSに関する情報が今年のWWDC 2012を皮切りに公開されることだろう。

次期iOSでは、独自の3D地図サービスが登場する?

 当たり前の話だが、次期iOSについて現時点で出ている情報はほとんどない。だが興味深いトピックがふたつほどあったので簡単に紹介しておこう。ひとつはWiredが報じているGoogle Mapsに関する情報だ。Wiredは、さらに9 to 5 Macの記事をベースにしており、Wall Street JournalのAll Things Digitalもこれを肯定するようなレポートを追加で報じている。

 アップルが地図関連のベンダー3社を買収していることは、「アップル参戦! 「OpenStreetMap」をめぐる“地図戦争”」でも報じたとおりだ。上記メディアらの報道では、アップルでは次期iOSで“標準の地図サービス”としての「Google Maps」の利用を止め、独自の地図サービスの提供を開始する可能性が指摘されている。ここでは買収した3つの企業のうちの1社、C3 Technologiesによる3D表示での美麗な地図表示をサンプルとして紹介し、この技術が「Apple Maps」的なものに転用されるのではないかという考えだ。

 実際、アップルはすでにiOS向けの「iPhoto」アプリの中でOpenStreetMapベースの地図サービスを提供しており、準備自体は着々と進めている可能性がある。iPhotoでの実装は不完全だが、もしアップルがiOSレベルで新しい地図機能を標準搭載するのであれば、少なくともユーザーをがっかりさせるものにはならないだろう。筆者としてもそうしたサプライズを期待したい。

iOS版「iPhoto」では、すでにOpenStreetMapベースの地図サービスに移行している

iCloudを使った「写真共有SNS」―「Instagram」対抗?

 そしてもうひとつ、iOSだけの話ではないが、アップルのクラウドサービス「iCloud」に関する新しい情報が出てきている。Wall Street Journalでは、WWDCにおいてiCloudの新機能を発表するという関係者の話を紹介している。

クラウドサービス「iCloud」の新機能として、写真共有SNSが発表される?

 その内容は、iCloud上でユーザーが他のユーザーと写真を共有し、それにコメントを付けられるようなものだという。現在、iCloudでは「Photo Stream」と呼ばれる機能を使ってデバイス間での写真同期を可能としているが、これは他者への公開向けの機能ではない。

 新サービスのイメージは写真を使ったSNSのようなもので、WSJは同種の例として米Facebookが10億ドルで買収した写真共有サービス「Instagram」を挙げている。おそらく、iCloudの新サービスであると同時に、次期iOSの写真アルバムやカメラアプリに標準で付与される共有機能になるとみられる。

 この話がもし事実だとすれば、サービスの内容以上に興味深いのは、「アップルがSNSへの興味を失っていない」ことだ。マイクロソフトなどのライバルはFacebookへの資本投下やWindows 8における機能実装にみられるように、自らはSNSを持たず、各種外部のサービスを利用する形態を採用している。

 一方でアップルは音楽SNSの「Ping」にみられるように、ユーザー間での情報共有やコミュニケーションを積極的に推進するような仕組みを模索しており、今回噂されるサービスもまた、こうした動きを加速させるものとみられる。現時点でアップルがSNS市場におけるプレゼンスをもっているのかどうかは意見の分かれるところだが、少なくとも噂されるサービスは、Flickrを買収した米Yahoo!や、Facebookといった既存サービスに対抗する形になるかもしれない。

Ivy Bridge/USB 3.0/Retinaディスプレー搭載、
薄型MacBook Proが登場か?

 前述のように、WWDCはアプリケーション開発者のためのカンファレンスであり、本来であれば新ハードウェアを期待できるものではない。新製品が発表されたばかりのiPadはいうに及ばず、新型iPhoneについてもどの程度期待できるかは未知数だ。

 だが、「Mac新製品」の「One more thing…」に期待するユーザーは多く、これに関する噂が増え続けている。特にインテルが「第3世代Coreプロセッサー(Ivy Bridge)を発表、さらに超低電圧版の製品ラインが6月と予想されており、“主要顧客”の1社として「アップルがIvy Bridge搭載ノート」を発表するのではないかとみられている。

 14日(現地時間)、米Bloombergが関係者からの話として報じた記事によれば、Intelの最新プロセッサーを搭載した、薄型ノートがWWDCのタイミングで発表されることになるという。特に、現行の0.95インチ(約24.1mm)よりもさらに薄くなることが最大の特徴としている。

 これだけだと不明な点が多いが、9 to 5 Macではリーク情報としてより詳細なスペックに触れている

「MacBook Pro」が薄型化される!? ちなみに現行製品では、13インチと15インチの高さが24.1mm、17インチが25mmとなっている

 例えば、モックとして紹介している画像によれば、従来のMacBook ProがDVDスーパードライブを必ず搭載していたのに対し、新型MacBook Proではそれが排除され、代わりに薄さを実現しているといった具合だ。それにともない、キーボード上の“ディスクイジェクト”ボタンが電源ボタンとなり、さらに「Retinaディスプレー搭載」や「USB 3.0」サポートを実現しているという。

 Retinaディスプレー採用の噂は以前からあり、実現される場合は、iPhone/iPad同様に現行解像度のちょうど縦横2倍ずつを目指すとみられ、既存アプリケーションの流用も問題なさそうだ。USB 3.0については外付けHDDなど対応ハードウェアが増えつつあり、もしMacBook Proで採用されると、普及にさらに弾みがつくとみられる。

 また、MacBook Proにおいて光学式ドライブを廃して薄型化を目指す場合、「MacBook Air」との違いをどう打ち出すか、ブランディングが問題となりえるだろう。

 MacBook Proの13インチモデルが事実上廃止され、ディスプレーのインチ数でProとAirを切り分けるのか。あるいは、“Air”、“Pro”を取り払い、シンプルに「MacBook」に名称を統一する可能性、はたまた新MacBook Proにふさしい新名称が付けられるという可能性もあり、非常に興味深い。

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