引越し記念! よりぬき東京カレー日記(17) iPhone×Androidの図式を作ったのは孫さん?

 2011年は、スマートフォンが国内で2000万台も売れたそうだ。米IDCによると、世界市場での総出荷台数は対前年55%増の4億7000万台になるそうだ。めちゃめちゃにスマートフォンが売れていて、ご存知のようにアップルのiPhoneとグーグルによるAndroidを搭載した製品が、ガチで火花を散らしている。

 すでに、Android携帯の売れ行きがiPhoneを抜き去っているが、単一機種で捉えると圧倒的に売れているのがiPhoneである。今後いよいよ際立ってくるのが、iPhone×Androidの図式というわけだが、そこで、Androidの先祖にあたるともいえる「Sidekick」のことを話題にしていたらあることに気が付いた。

 それは、世界中を巻き込んで動いている「iPhone×Android」の図式を作り出した遠因は、孫さんのソフトバンクにありかもしれないというお話である(ご本人も気づかれているかどうかか?)

 「Sidekick」というのは、02年に、デインジャー(危険)という名前の会社が発売したスマートフォンの“走り”といえる端末である。当時、「ブラックベリー」が、背広族向けにメッセージング端末として定着しつつあったところに、“18歳から34歳”までをターゲットに売り出された。メール、ウェブ、AOLを使ったチャット、新聞(ニューヨークタイムズ)、オプションで撮影、ゲームができる。折しも、アップルがiPodを発売した翌年である。

 私は、ニューヨークに住んでいた@spike55tyoさんに教えてもらって、さっそく買って送ってもらい記事にしたのだった。デインジャー社は、創設者の顔ぶれも話題だった。元アップルの3人(うち2人は後にWebTV、1名はPowerBook150の設計者でフィリップスでVero 1を開発)という顔ぶれに、アップルの創業者のウォズニアックも取締役に名前を連ねていた。

 ところが、先日、その後のデインジャー社とSidekickについて、改めて@spike55tyoさんに教えてもらったことがあった(Twitterの私のTL上で)。

 それによると、Sidekick発売後の03年に、ソフトバンク系のVCが、デインジャー社に出資している。創業者のアンディ・ルービンが独立してAndroid社を設立したのはこのタイミングらしいのだ。05年にグーグルが同社を買収して、現在のオープン・ハンドセット・アライアンスとAndroidとなるわけなのである。

 いまさらのようにSidekickを引っ張り出してみると、物理的なボタンが、Androidと酷似していることに気づく(ホームボタンやバックボタンが特徴的)。孫さんが、1兆7000億円も出して日本のボーダフォンを買収したのは4年後の06年である。孫さんって、03年には、もう携帯電話に興味があったんだということも分かる。08年には、マイクロソフトがデインジャー社を買収。「KIN」というキッズ用のシリーズを発売するが、結果的には撤退している。

 はたして、ソフトバンクがデインジャー社にお金を入れなかった場合、Andoridが、どんな道をたどったかは不明である。このようなプラットフォームを提案する会社としては、日本のアクセスなどもあった。存在しなかった歴史については何もいえないのだが、03年にアンディが独立していたことが、いまのiPhone×Androidの図式を生み出したことは間違いない。

【筆者近況】
遠藤諭(えんどう さとし)
アスキー総合研究所所長。同研究所の「メディア&コンテンツサーベイ」の2012年版の販売を開始。その調査結果をもとに書いた「戦後最大のメディアの椅子取りゲームが始まっている」が業界で話題になっている。2012年4月よりTOKYO MXの「チェックタイム」(朝7:00~8:00)で「東京ITニュース」のコメンテータをつとめている。
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